2012年2月17日金曜日

ムーディーズ、大手金融機関17社を格下げ方向で見直し

米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは16日、国際的に業務を展開している17の銀行および証券会社の格付けを引き下げる可能性があると警告した。資金調達条件の悪化や各国の規制強化、経営環境の厳しさが理由、と説明している。

欧州債務危機の影響が国際金融システム全体に広がりつつあることがあらためて浮き彫りとなった。

ムーディーズは欧州16カ国の114金融機関についても、格付けを見直すと発表した。欧州債務危機の影響と、域内政府の信用力低下を反映するとしている。

同社は13日、イタリア、ポルトガルなど欧州6カ国の格下げを発表。フランス、英国、オーストリアの格付け「AAA」についても、見通しを「ネガティブ」に変更した。

ムーディーズが今回見直すのは、金融機関の長期格付けとスタンドアローンクレジット評価(政府からの支援の可能性を考慮しない単体ベースでの信用力)で、対象はバンク・オブ・アメリカ<BAC.N>、シティグループ<C.N>、ゴールドマン・サックス<GS.N>、JPモルガン・チェース<JPM.N>、モルガン・スタンレー<MS.N>、ロイヤル・バンク・オブ・カナダ<RY.TO>、バークレイズ<BARC.L>、BNPパリバ<BNPP.PA>、クレディ・アグリコル<CAGR.PA>、ドイツ銀行<DBKGn.DE>、HSBC<HSBA.L>、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド<RBS.L>、ソシエテ・ジェネラル<SOGN.PA>。

クレディ・スイス<CSGN.VX>、マッコーリー<MQG.AX>、野村<8604.T>、UBS<UBSN.VX>の長期格付けとスタンドアローンクレジット評価についても見直し期間を延長する。

ムーディーズは「資本市場に関わる企業は、資金調達条件の悪化や、スプレッド拡大、規制強化、厳しい事業環境という課題に直面している。こうした困難さが、長期的な採算や成長を圧迫している」と指摘した。

欧州金融機関の格付け見直しについては「今回の見直し後の格付けは、現在予想されているクレジット面の悪材料を完全に反映したものになる」との見方を示した。

欧州金融機関については、99金融機関のスタンドアローンクレジット評価を引き下げ方向で見直す。また、109機関の長期債務・預金格付けと、66機関の短期格付けについても引き下げ方向で見直すとしている。

欧州では、金融機関の保有するギリシャ、ポルトガル、アイルランド、スペイン、イタリア国債などの価格が下落。金融機関の経営が圧迫され、融資の伸び悩みや経済活動の低迷を招いていおり、国家財政の立て直しに不可欠な経済成長を維持することが難しくなっている。

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